椎間板ヘルニア、
ヘルニアの語源はラテン語の「飛び出す」という意味です。
椎間板ヘルニアでは、何が「飛び出している」かというと、
髄核というものです。
クッションの役割をしている椎間板の中にあり
この椎間板から飛び出した髄核が神経を圧迫すると、
首のヘルニアであれば腕、
腰のヘルニアではればお尻や脚
といった具合に
圧迫された神経の支配領域に沿って
痛みやシビレ、感覚異常等が出ます。
ヘルニアといえば
手術をイメージされる方が多くいるのではないでしょうか?
実際は
ヘルニアの診断を受けた患者様の中でも
手術の対象となるのは10%程度といわれています。
そもそも
レントゲン画像を見て
「椎体(骨)と椎体の間隔が狭くなっているということは、
間にあるはずの椎間板がつぶれている可能性があるから
椎間板ヘルニアの可能性が高い」
とドクターに言われれば、
患者さんはヘルニアと診断された
と思い込んでも無理もありません。
ですが、
画像所見では腰痛の85%は
原因不明だと言われており、
残りの15%のうち、
椎間板ヘルニアが原因と特定できるものは
わずか3%程度に過ぎないといわれています。
レントゲンではなく、
MRI検査でなければヘルニアの確定診断はできませんが
医療保険制度上、腰痛治療の幅を持たせるために
「ヘルニアもどき」
になってしまっている方が
多いのではないでしょうか。
ヘルニアは自然治癒して消失することが
わかっており、
椎間板ヘルニアの自然治癒のメカニズムとしては、
飛び出した椎間板が時間の経過とともに
マクロファージによって吸収されることが挙げられます。
MRI画像上では、
約70%のヘルニアが3~6ヶ月で消失すると言われています。
そのため
海外ではヘルニアで手術は行わず
投薬治療、各国の徒手療法、治療機器などの
保存療法が行われています。
これは
今から25年以上前の1995年からすでに
国際腰椎学会で発表され、
腰痛界のノーベル賞と評される「ボルボ賞」を受賞した研究で
そのことが明らかにされています。
その論文では、
「椎間板ヘルニアと診断された患者46名」と
「腰に痛みがない健常者46名」の
椎間板をMRIで比較した結果を発表しています。
その結果、
なんと腰に痛みがない健常者グループの76%に
椎間板ヘルニアが確認されたのです。
つまり、
ヘルニアだから腰痛ではないという結果が
分かったのです。
さらに、その論文では
椎間板ヘルニアが原因の腰痛は
わずか3%であると明らかにされています。
この研究結果の通り、
椎間板が飛び出している事自体が
痛みにつながるという事はありません。
MRIの画像上で髄核が飛び出して
神経を圧迫していても全く痛みがないことがありますし、
髄核が全くとびだしていないのに、
腕や脚に眠れないほどの痛みを感じることもあります。
ヘルニアで痛みを感じる人と
痛みを感じない人の違いは
筋肉の硬さです。
痛みを感じる人は例外なく
筋肉が固いです。
多くの場合、
腰の固くなった筋肉によって神経や血管が圧迫されて
痛みや痺れが出ています。
ここでいう筋肉の硬さは
姿勢や身体の日常的な歪みも
考えられます。
筋肉が柔らかい状態が保たれていれば
椎間板から髄核が飛び出していても
「痛み」としては認識されません。
当院ではこの状態を目指して、
施術を行っています。